無人店舗研究所 UNMANNED RETAIL LAB

無人ジムは成立するのか?地下空間を活かした「レンタルジムLiFT」野本オーナーが語る、ジムビジネスのリアル

新型コロナウイルスの流行を境に、フィットネス業界は大きな変革期を迎えました。大型フィットネスがクラブから、個室型のパーソナルジムや、誰とも顔を合わせずに利用できる無人レンタルジムへと、人々のニーズは多様化しています。

そうした中、東京都町田市でパーソナルジムと無人レンタルジムのハイブリッド経営を実践し、確かな需要を掴んでいるのが「Lifeby53(レンタルジムLiFT)」です。

今回は、オーナーである野本拓矢氏に、地下という立地を活かした空間づくりのこだわりから、無人店舗を支えるシステム選び、そしてフリーランストレーナーの台頭による新たなジムの活用法まで、リアルな店舗経営の裏側をたっぷりと伺いました。

【プロフィール】

氏名: 野本 拓矢(のもと たくや)

肩書: Lifeby53(レンタルジムLiFT)オーナー

経歴:

・日本体育大学を卒業後、大手外資系企業に就職

・アメリカンフットボールの国内トップリーグであるXリーグで7年間プレー

・アメリカンフットボール引退後、大手フィットネスクラブやパーソナルジムなどに勤務

・練馬区のパーソナルトレーニングジムLEADINGにて新人教育を担当し、2019年8月より相談役に就任

・2019年8月、町田にパーソナルトレーニングジムLifeby53をオープン  https://lifeby53.com/staff-takuyanomoto/ 

現在の活動内容: パーソナルジム経営・レンタルジム経営・その他 

■ 個人運営SNSアカウント Instagram:

https://www.instagram.com/takuya.nomoto

地下1階だからこそ実現できた「完全プライベート」なトレーニング空間

ーー本日はよろしくお願いいたします。まずは、野本様が町田市で運営されている店舗「Lifeby53(リフト)」の施設としての大きな特徴や、空間づくりにおけるこだわりについて教えていただけますでしょうか。

野本拓矢氏(以下、野本氏): よろしくお願いいたします。当ジムの施設としての最大の特徴は、「地下1階のワンフロア」という立地条件にあります。ジムを開業するにあたって、防音性やプライバシーの確保は非常に重要な要素になりますが、地下にあることでこれらの課題を見事にクリアすることができました。

例えば、ハードなトレーニング中に思わず大きな声や叫び声が出てしまったり、モチベーションを上げるために大音量で好きな音楽を流したりしても、近隣へ騒音でご迷惑をおかけする心配が一切ありません。苦情を気にすることなく、ご自身の限界まで追い込める環境が整っています。 また、地下1階のため外に通じる窓がなく、通行人や周囲の視線を全く気にせずに済むというのも大きなメリットです。自分の世界に入り込んでトレーニングに没頭できるため、お客様からは「集中力が途切れない」と大変ご好評をいただいております。

ーー周囲の目を気にせず、思い切りトレーニングができる環境は貴重ですね。設備面での特徴は何かありますか?

野本氏: 設備面での大きな付加価値として、高性能な体組成計「インボディ(InBody)」を設置しています。店舗にお越しいただければ、どなたでもご自由に測定が可能です。 インボディを使えば、単なる体重だけでなく、部位別の筋肉量や体内の水分量、ミネラルバランス、骨密度といった詳細なデータを正確に把握することができます。ご自身の身体の数値を客観的に見ながら、目標に向けて計画的にトレーニングされる方が非常に多くいらっしゃいます。無人レンタルジムであっても、こうした本格的な設備を利用できる点は、当店の強みの一つだと考えています。

パーソナルの「空き時間」から生まれた無人レンタル事業の軌跡

ーー現在、パーソナルジムと無人レンタルジムを組み合わせて運営されていますが、そもそもこの事業形態を始められたきっかけは何だったのでしょうか。

野本氏: もともとこの店舗は、私が一人で立ち上げた完全なパーソナルジムとしてスタートしました。しかし、開業当初は思うように集客が伸びず、パーソナルセッションの予約が入っていない「空き時間」がどうしても発生してしまっていました。せっかく立派な機材とスペースがあるのに、誰も使っていない時間は非常にもったいないですよね。そこで、この空き時間を有効活用できないかと考え、時間貸しの「レンタルジム」としてのサービスをスタートさせたのが最初のアプローチです。

ーー空き時間のマネタイズがスタートだったのですね。反響はいかがでしたか?

野本氏: ちょうどレンタルジムのサービスを始めたタイミングがコロナ禍と重なっていたこともあり、思わぬ需要がありました。近隣の大型フィットネスクラブに通われていた方々が、感染リスクを避けて「密にならない完全個室でトレーニングを続けたい」と、当店のレンタルジムを利用してくださるようになったのです。

ただ、その後一度レンタルジムとしての営業をストップした時期もありました。需要自体はあったのですが、売上に対する収支のバランスがあまり良くなかったことや、不特定多数の方が利用されることによる清掃・メンテナンスの手間など、管理コストが想定以上にかかってしまったためです。パーソナルジムの運営に集中するため、一旦レンタル事業は閉鎖しました。

ーーそこから現在のように、再びレンタルジムを再開されるに至った経緯を教えてください。

野本氏: レンタルジムを閉鎖してから1年半ほど経った頃、当店で働いてくれていたパーソナルトレーナーが退職することになりました。それによって店舗の稼働スケジュールに再び余裕が生まれたため、一つの店舗の中で「パーソナルジム」と「レンタルジム」の両方を運営する、現在のハイブリッドスタイルに行き着きました。

現在は、パーソナルジムとしての営業を「火曜日の夜」と「土日」に絞り、それ以外の時間をすべて無人のレンタルジムとして一般開放する形をとっています。

ーー顧客層としては、パーソナルジムの会員様がレンタルジムを併用されるケースが多いのでしょうか?

野本氏: いえ、実はパーソナルジムの会員様と、レンタルジムの利用者様は、顧客層が全く異なります。パーソナルジムに通われている方が、自主トレーニングのためにレンタル枠を利用されるケースもゼロではありませんが、人数としては非常に少ないです。基本的には、それぞれ完全に独立した別の顧客層にご利用いただいているという状況ですね。

無人店舗を成功に導くシステム選定と、日々の裏側オペレーション

ーー無人でジムを運営するにあたり、システム面で重視された点や工夫されたポイントはありますか?

野本氏: スタッフが常駐しない無人運営を成立させるためには、オンライン上で予約から決済までが完結するシステムの導入が「絶対条件」でした。 ただ、当店はもともとパーソナルジムとして内装や設備を整えていたため、無人化するにあたって大掛かりな改装工事などを行う必要はありませんでした。いかに「手間とコストをかけずに無人化の仕組みを構築するか」という点に注力しました。

ーー予約・決済システムとして、現在導入されているものは何でしょうか。また、それを選ばれた決め手を教えてください。

野本氏: 現在導入しているのは「UPNOW(アップナウ)」というシステムです。選んだ最大の決め手は、「初期費用や月額の固定費といったリスクが極めて少ないこと」です。

過去の経験や、他の無人店舗を経営されている方々のお話を伺う中で、「初期費用や月額のシステム利用料に多額のコストをかけすぎてしまい、いつまで経っても黒字化できない」という失敗例をいくつも見てきました。私自身、パーソナルジムの経験から、レンタルジム事業単体に対して過度な設備投資やシステム投資をしても、それを回収できる可能性は低いとシビアに分析していました。

UPNOWは買い切り型などの高額なシステムではなく、クレジットカード決済のシステム利用料(手数料)が売上から差し引かれるという従量課金に近い形だったため、固定費の圧迫がありません。使い勝手も良く、万が一売上が立たなかった場合のリスクを最小限に抑えられるという点で、私の経営方針に非常にマッチしていました。

項目詳細
導入システムUPNOW(アップナウ)
主な機能オンライン予約、クレジットカード決済、スケジュール管理
選定の決め手初期費用・月額固定費が安価(決済手数料ベースのコスト構造) ランニングコストのリスクが最小限であること
稼働状況大きなシステムトラブルもなく、安定した無人運営を実現

ーーシステムの安定性や、日々の運営における苦労はありますか?

野本氏: システム自体は条件の良いものを選んだため、予約や決済に関するトラブルはほとんど起きていません。以前別の場所で運営していた際はトラブルに見舞われることもありましたが、現在は非常に安定しています。

日々の運営体制としては、基本的に私一人で管理を行っています。人件費がかからないのが無人店舗の最大のメリットですが、当然ながら「清掃」や「備品の補充」といった現場業務は発生します。現在は、別のパーソナルジムで活動しているトレーナーが、たまに清掃や備品管理のアルバイトとして手伝ってくれています。私がメインで全体を管理しつつ、要所で清掃に入ってもらうという体制です。あとは、ホームページ経由で寄せられるご質問や、予約・決済に関するお客様からのお問い合わせ対応などが日々の業務となります。

激戦区・町田で見つけた「フリーランストレーナーのシェアサロン」という需要

ーー現在店舗を構えられている「町田」というエリアについて伺います。なぜ町田駅周辺を出店場所に選ばれたのでしょうか。

野本氏: 私自身が町田市に住んでいるということが一番の理由です。当初は、通勤時間を短縮できる場所で、私自身が一人で一店舗を運営していくことを前提に考えていました。町田駅周辺で良いテナントがあればと探していたのですが、駅前の好立地となるとやはり「賃料の高さ」がネックになりました。ただ、実際にこの町田エリアで出店して運営を続けてみて、ここにはレンタルジムとしての大きな需要が確実に存在していると感じています。

ーー具体的に、どのような層からの需要が大きいのでしょうか?

野本氏: 町田というエリアは、実はパーソナルジムがひしめき合う「激戦区」なんです。それに伴い、特定のジムに所属せず個人で活動しているフリーランスのパーソナルトレーナーさんが非常に多くいらっしゃいます。 そうしたフリーランストレーナーの方々が、ご自身の抱えているお客様(クライアント)を連れてきて、当店のレンタルジムを利用してセッションを行うというケースが非常に多いのです。

ーー美容業界における「シェアサロン」や「面貸し」に近いイメージですね。

野本氏: おっしゃる通りです。完全に美容室のシェアサロンと同じ構造ですね。 フリーランスのトレーナーさんにとって、自分自身で初期費用をかけて店舗を構え、毎月高い家賃を払うというのは非常にハードルが高いです。しかし、当店のような設備が整った無人のレンタルジムを、必要な時間だけスポットで利用できれば、リスクなく自身のビジネスを展開できます。トレーナーという職業を経験していない方にはなかなか思いつかない発想かもしれませんが、この「トレーナーによる場所借り需要」は非常に底堅いものがあります。

また、リモートワークが定着したことで、隙間時間を有効活用したいという一般の方も増えています。そういった方々が、レンタルジムでプロのトレーナーからパーソナルトレーニングを受けるというスタイルは、今の時代に非常にマッチしているのではないでしょうか。

無人ビジネスのリアルと、堅実な未来への展望

ーー今後、レンタルジム事業をどのように展開していく予定ですか?最新のAI指導の導入なども検討されていますか?

野本氏: 最近はピラティスやジムで、AIを活用したフォーム解析や遠隔指導といったテクノロジーが流行していますが、当店ではそうしたAI技術の導入は今のところ検討していません。もし導入するとすれば、完全なオンラインサービスか、別の無人スタイルになるかと思います。

また、今後の事業展開についてですが、正直なところ「無人レンタルジム」という単体事業での多店舗展開や、莫大な広告費をかけての集客拡大というのは考えていません。なぜなら、無人レンタルジム単体で大きな利益を出し続けるのは、ビジネスモデル的に非常に難易度が高いからです。

ーー単体で利益を出すのが難しい理由を、具体的にお聞かせください。

野本氏: 計算してみると分かりやすいのですが、例えば当店のレンタル料金が30分800円、1時間1,650円だとします。仮に月に15万円の売上(利益ではなく売上です)を作ろうとした場合、1ヶ月で約100時間分の予約枠を埋めなければなりません。単価が安い分、回転率を極限まで上げなければならず、それは現実的ではありませんし、利用者が増えすぎれば今度は予約が取れなくなり、顧客満足度の低下や管理の手間ばかりが膨れ上がってしまいます。

だからこそ、私の考えとしては「メインとなる確固たる事業(パーソナルジムなど)でしっかりと利益の基盤を確保し、それを補うためのサブ事業として空き時間を活用したレンタル事業を展開する」というのが、最もリスクが少なく堅実な方法だと思っています。

ただ、新しい付加価値として、レンタルジムのスペース内に「ピラティスマシン」を1台設置することは検討しています。最近は大手無人ジムでもピラティスマシンを導入する動きがありますし、女性のフリーランストレーナーさんなどからの新たな需要を喚起できるのではないかと考えています。

ーー最後に、これから無人店舗ビジネスに参入しようと考えている方へ、実体験に基づいたアドバイスをお願いします。

野本氏: 昨今、「無人店舗」と一口に言っても、レンタルジム、レンタルサロン、無人古着店、無人販売所など、その形態は多岐にわたります。私の知り合いでも、無人の古着販売で非常に大きな利益を出している方がいます。参入するジャンルや形態によって、明暗はくっきりと分かれるでしょう。

無人店舗は「人件費がかからない」という圧倒的なメリットがある一方で、魔法のビジネスではありません。ジムであれば毎日の清掃やマシンのメンテナンス、備品の補充、お客様からの問い合わせ対応といった「運営していく上で絶対に欠かせない業務」は必ず発生します。

「無人だから楽をして儲かりそう」という軽い気持ちや興味本位だけで始めるのではなく、どのような顧客に、どのような価値を提供するのか」「トラブル時にどう対応するのか」といったビジョンや事業計画がしっかりと固まっているのであれば、十分に挑戦する価値のある素晴らしいビジネスモデルだと思います。私自身も、パーソナルと無人レンタルを掛け合わせた現在のスタイルを、今後も堅実に磨き上げていきたいと考えています。

◆店舗情報

レンタルジムLiFT

住所:〒194-0013

東京都町田市原町田2-8-1 町田KKビルB1

※JR町田駅から徒歩5分 近隣にコインパーキングあり

公式サイト:https://lifeby53.com/rentalgym/

公式LINE:https://lin.ee/5LquzmF

週に1回、美容・健康・ボディメイクに役立つ情報を配信しています!

▽編集後記

こんにちは!無人店舗研究所の編集部です。

今回は以前当メディアのインタビューでお世話になった代表の野本さんが運営する、東京都町田市のレンタルジム「LiFT(リフト)」さんへ実際に足を運んできました!

アクセスと無人ならではのスムーズな入室

LiFTさんは、JR町田駅のターミナル口から徒歩5分という好立地。大通りから一本入ったところにあり、「パーソナルトレーニング・レンタルジム」の大きなポスターが出ているので迷わず到着できました。

店舗は地下1階(過去にはなんとエイベックスのスタジオとして使われていたそうです!)にあり、階段を下って入室します。

完全無人店舗のため、入室はキーボックス式。

予約時の自動返信メールやマイページから番号を確認して鍵を開けるシステムで、ドアには利用上の注意も分かりやすく記載されていました。24時間作動の防犯カメラがドア付近にも室内にも設置されているため、セキュリティ面も安心です。

快適で清潔!充実のパーソナルトレーニング空間

中に入ると「土足厳禁」のマットがあり、靴を脱いで上がる仕組みです。入ってすぐのスペースには、嬉しい設備が揃っていました。

 インボディ(体成分分析装置): 体重や体成分が細かく測定できます。(※測定は1人1日1回まで)

 更衣室: しっかり目隠しされ、ハンガー掛けも完備された丁寧な作りです。燃えるゴミのゴミ箱も完備。

 ウォーターサーバー: 誰でも無料で利用可能!重い飲み物を持参する手間も省け、ドリンク代の節約にもなります。トレーニング後に冷たいお水が飲めるのは嬉しいですよね。

 無料Wi-Fi: 専用のWiFiがあり、室内で快適に利用できます。

 清潔なお手洗い: 専用のスリッパが用意されており、整理整頓されていました。

地下ということで「湿気や空気がこもるのでは?」と少し懸念していましたが、エアコン・除湿器・加湿器が全てしっかり稼働!訪問した日は湿度も高くかなり暑かったのですが、ジメジメ感ゼロでとても涼しく快適な空間が保たれていました。

初心者からプロまで大満足のトレーニング設備

天井が高く、スペースがゆったり確保されているため、地下特有の閉塞感は全くありません。壁一面が鏡張りになっているので、全身のフォームを確認しながらトレーニングできるのも高ポイントです。

室内には充実した機材がズラリと並んでいます!

 パワーラック(ラットプル付き)

 ユーティリティベンチ(2台)

 軽量ダンベル(1kg〜4kg各1セット)

 可変式ダンベル(パワーブロック)

 オリンピックシャフト&ウェイトプレート

 バランスボール、ヨガポール、ステップボックス等。

機材の使い方はホームページの動画から確認できる仕組みになっており、無人店舗でも迷わず使える手厚いサポートに感動しました。

Screenshot

どんな人におすすめ?圧倒的なコスパの良さ

一般的なジムでは順番待ちになりがちなパワーラックも、ここなら完全に独占できます。しかも元音楽スタジオという環境を活かし、大音量で好きな音楽を流しながらトレーニングが可能とのこと。

店舗を持たずフリーで活動するパーソナルトレーナーの方をはじめ、他人の目を気にせず一人で集中したい方、ご友人やカップルでのびのびと体を動かしたい方に非常におすすめです。

人数制限はありませんが4名以上だと少し手狭になるかもしれない…とのことでしたが、逆に2人以上でも使えるのはかなり優しい仕組みな気がします。

 利用料金は30分 825円 / 1時間 1,650円(※2026年8月現在)とのことで、この充実したプライベート空間が1時間1,650円で使えるのは驚きの安さです!

近隣にはコインパーキングも複数あるため、車でのアクセスも抜群でした。

まとめ

最後は、現地をご案内いただいた野本代表とツーショット写真を撮らせていただきました!

帰り際には野本さんの今後の展望もお伺いし、私たち編集部員も大変貴重な時間を過ごすことができました。

誰にも気を使わず、最高の環境でトレーニングができるレンタルジム「LiFT」さん。

今後また新しい情報がありましたら、こちらのブログでも追記していきますのでお楽しみに!

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