タクシーの無人化とは?導入事例や今後の進展について解説
無人化タクシーは、自動運転技術により運転手不在で乗客を目的地まで運ぶ次世代の交通手段です。
人件費などのコスト削減や24時間運行、安全性向上など多くのメリットを持ちながらも、技術の課題や法律の整備などが必要とされています。
今回は、アメリカや中国、日本国内などで実証実験が進み、普及に向けた取り組みが進んでいる無人化タクシーについて解説します。
無人化タクシーとは?自動運転技術の進化がポイント
無人化タクシーは、運転手不在で自動運転技術を使い、安全に乗客を運ぶ次世代のタクシーです。
センサーやカメラ、LIDAR、AIなどのシステムを活用し、道路状況を把握して運転操作を行います。
近年の自動運転技術の急速な進化により、無人化タクシーの実現が近づき、未来の交通手段として期待されています。
まずは、無人化タクシーの特徴や自動運転技術について見ていきましょう。
無人化タクシーの特徴
無人化タクシーとは、運転手がいない状態で、自動運転技術を利用して乗客を安全に目的地まで運ぶタクシーのことです。
この自動運転技術には、人の目の代わりを担うセンサーである「3D-LiIDAR」や加速度センサー、GPSセンサー、カメラ、AI(人工知能)などの最新技術が組み込まれており、道路の状況を正確に把握しながら自動で運転操作を行います。
このような自動運転技術の発展とともに、無人化タクシーは未来の交通手段として期待されており、現在もさまざまな実証実験が重ねられているのです。
実際、海外では走行範囲や時速を限定して自動運転の無人化タクシーのサービスが展開されています。
自動運転技術の進化と無人化タクシーの関係
自動運転技術は、近年急速に進化しておりタクシー業界以外にもトラックドライバー不足の解消などにも期待されている分野です。
自動運転技術の進化には、AIの進歩やセンサー技術の向上、高精度な地図データの活用が含まれており、国内における無人化タクシーも実現可能なものとなりつつあります。
特に「完全自動運転」であるレベル5が達成されれば、運転手不在で全ての運転操作を行うことができ、無人化タクシーの普及が一層進むでしょう。
なお、完全自動運転はレベル1~5に分類されており、日本国内ではレベル4の「自動運転」サービスの提供がスタートしています。
レベル5は、2027年に横浜市で開催予定である「国際園芸博覧会」で実証実験が実施される計画があります。
運転手のいない完全無人のタクシーが街を走行するのは、このレベル5の技術が認められてからになるため今後の展開に期待です。
無人化タクシーのメリットとデメリット
無人化タクシーには、コスト削減や24時間運行、安全性の向上といった多くのメリットがあります。
メリットがある一方で、技術面の課題や法律の整備、事故を起こしたときの対応などのデメリットも存在するのも事実です。
実用化が期待されている無人化タクシーのメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。
無人化タクシーのメリット
無人化タクシーの主なメリットは以下の3つです。
- コスト削減
- 24時間運行
- 安全性の向上
まず、無人化タクシーにすることで運転手の人件費を減らせるため、コスト削減に繋がります。
コスト削減によってタクシーの料金が低く抑えられ、利用者にとっても経済的です。
また、無人化タクシーは運転手の休憩が必要ないため、24時間365日運行させることができます。
深夜や早朝など、従来であればタクシーが少ない時間帯でもサービスを提供することが可能です。
自動運転技術により、事故の原因となるヒューマンエラーを大幅に減少させることができます。
さまざまなセンサーやAIが常に周囲の状況を把握し、最適な運転操作を行うため、交通事故のリスクの低減が期待でき安全に乗客を目的地へ送ることができるのが魅力的です。
無人化タクシーのデメリット
無人化タクシーの主なデメリットは以下の3つです。
- 技術的な課題が残っている
- 法律や規制の整備
- 事故のリスクとその対応
無人化タクシーに必要となる、完全な自動運転技術の実現にはまだ多くの技術的課題が残されています。
特に、悪天候や複雑な交通状況において、自動運転の各システムが適切に機能するかどうかが大きな課題です。
また、無人化タクシーの普及には、各国の法律や規制の整備も整えていく必要があります。
現在、多くの国で自動運転車に関する法律が整備されつつありますが、無人化タクシーが一般的になるためには、さらに多くの法改正が求められます。
車は人が運転することを前提にしており、そのために作られた法律を無人化にも適用させていく必要があるため、慎重な検討が必須です。
さらに、運転手が乗っていない無人化タクシーが事故を起こした場合の責任の所在や保険の対応などの問題も解決しなければなりません。
また、無人化タクシーのシステム障害が発生した場合の対処方法についても検討が必要です。
無人化タクシーの現状と導入事例
無人化タクシーの導入は世界各地で進んでおり、各国で異なる取り組みが行われています。
国内における無人化タクシーの進展と課題への理解を深めるために、アメリカ、中国、ヨーロッパ、日本の各地域における無人化タクシーの現状と具体的な導入事例を詳しく見ていきましょう。
世界の無人化タクシーの現状
海外では、以下の3ヶ国で無人化タクシーの導入へと取り組みが進められています。
- アメリカ
- 中国
- ヨーロッパ
アメリカではGoogle傘下である「Waymo(ウェイモ)」や「Tesla(テスラ)」が無人化タクシーの開発をリードしています。
特にWaymoは、フェニックス市郊外にあるイーストバレーとカリフォルニア州サンフランシスコで無人化タクシーの試験運行を開始し、2020年頃から実際に一般の乗客を乗せた運行を行っています。
中国では、Baiduが無人化タクシー「Apollo」を開発し、2019年から実証実験を開始。
2023年3月からは、完全自動運転による無人化タクシーが北京で運行されています。
「自動車強国」を目指している中国政府も、積極的に自動運転技術の推進を支援しており、無人化タクシーの普及に向けた環境整備が進んでいくでしょう。
ヨーロッパでは、ドイツのダイムラーやボッシュが提携を組み、共同で無人化タクシーの開発を進めています。
日本における無人化タクシーの導入事例
日本では、ホンダとGMが東京都にて無人化タクシーのサービスを、2026年を目途に開始するべく実証実験が行われています。
また、日産自動車とDeNAにおいては電気自動車「リーフ」をベースに無人化タクシーのサービスの実証実験を神奈川県の横浜市みなとみらい地区や藤沢市にて開始しており、普及に向けて各社取り組みを進めています。
地方においても、過疎化や高齢化が進む地域での移動手段として無人化タクシーは近い将来活躍することでしょう。
無人化タクシーに関するよくある質問
無人化タクシーは、まだ私たちの生活では一般的に利用できるサービスではないため、さまざまな疑問や不安があるのも事実です。
今回は、無人化タクシーに関するよくある質問について回答します。
無人化タクシーはいつ実現しますか?
無人化タクシーの完全な実現には、まだまだ時間がかかるとされています。
とはいえ、技術の進化と法整備が進むことで、近い将来実現する可能性もあるでしょう。
実現する具体的な時期については、各国の状況や技術の進展によりますが、2030年までには一般的になると予想されています。
無人化タクシーの利用方法は?
無人化タクシーの利用方法は、従来のタクシーと同様にスマートフォンのアプリを使用して呼び出す形が一般的です。
アプリを通じて乗車地点と目的地を指定すると、タクシーが自動的に配車されます。
乗車後は、車内のタッチパネルや音声指示で操作を行うのが一般的です。
無人化タクシーの安全性はどう確保されますか?
無人化タクシーの安全性は、最新のセンサー技術やAIを駆使して確保されます。
各種センサーやAIによって、常に道路など周囲の状況を監視して最適な運転操作を実施。
また、緊急時には遠隔操作や自動的な安全停止機能が働くため、乗客の安全を守ります。
まとめ
無人化タクシーは、技術の進化と共に実現が近づいており、私たちの生活に多くのメリットをもたらすことが期待されています。
一方で、技術的な課題や法的な整備など、解決すべき問題も多く残されているもの事実です。
しかし、課題が解決されることで、無人化タクシーは未来の交通手段として私たちの生活に大きな変化をもたらすでしょう。
今後の技術の進展と社会全体の取り組みによって、無人化タクシーの普及が進んでいくため、新たな移動手段として定着することが期待できます。
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