無人化の駅が増えている理由とは?問題点や便利な無人システムを紹介
近年、駅員が常駐していない無人化した駅が増えています。
駅だけではなく、飲食店や脱毛サロン、スポーツジムなど、さまざまな職種で無人化が進んでいるのが実情です。
ひと昔前までは、地方などの利用者の少ない駅は無人駅といったイメージがありました。
しかし、今は利用者の多い駅でも無人駅へ移行する傾向にあります。
無人化に伴い、駅の利用者からは不安や不満の声もあり問題点も多いため対策も必要です。
今回は、無人駅が増加している理由や問題点などを紹介します。
無人駅とは?
無人駅とは、駅員が配置されていない無人化された駅のことです。
1日中駅員がいない無人駅だけではなく、早朝や深夜など利用者が少ない時間帯のみ無人になる駅もあります。
乗車券や清算、乗り換えの案内、安全性確認など、通常駅員が担っている業務を無人で対応できるように無人システムを導入。
無人駅を目指す鉄道会社は、従業員が常駐していなくても通常通りに電車を利用できる環境を整えていくことが必要です。
駅が無人化している背景
無人駅が増加している背景には、新型コロナウィルス感染症の拡大による鉄道会社の減収が挙げられます。
2024年現在コロナ前の生活に戻っているものの、なかにはコロナ禍の生活にニーズを感じ、生活が一変した利用者がいるのも事実。
リモートワークが増え、鉄道の利用者も減ってしまったため、省人化する必要があった駅もあるでしょう。
また、利用者が鉄道を利用する際の利便性の向上を測るための取り組みの一環として、無人駅は増えているとも言われています。
ここからは、具体的に無人駅が増えている背景を見ていきましょう。
人件費などの費用削減のため
鉄道会社をはじめ、企業にとって大きな経費になっているのが人件費です。
無人駅にして省人化することで、人件費の削減が可能となります。
現在駅員が配置されているところに無人システムを導入するだけで、長期的に見たときの運営費用もカットできるため、経費削減に効果的です。
利用者の利便性が高まる
自動券売機や無人改札口、自動精算所など、駅員が常駐していなくても無人システムで利用者はスムーズに乗車手続きが行えます。
例えば、みどりの窓口は駅員が直接対応して手続きを行っているため、タイミングが悪いと長蛇の列ができていることもめずらしくありませんでした。
近年、みどりの窓口も無人化が進んでおり、みどりの券売機でクレジットカード払いでスムーズに購入できます。
駅員不在や順番待ちによる待ち時間の短縮に繋がり、利用者にとって利便性が高まります。
鉄道サービスの向上への期待
駅を無人化するに伴い、最新の技術が導入されることで、鉄道サービスの向上が期待できます。
例えば、スマートフォンのアプリを利用した乗車券の決済です。
自動改札機ではスマートフォンをかざすのみで乗車できるため、スムーズに乗車できます。
また、乗り換えや運行状況などの確認もスマートフォンで行えるため、駅員が不在でも知りたい情報を得られるのも便利です。
最新技術を導入すれば、監視カメラやAIカメラなどによる犯罪や事故の防止効果を高めることも期待できます。
無人化した駅が抱える問題点とは
無人駅は、利用者にとって良い効果が期待できる反面、問題点もあるため注意が必要です。
今後、無人駅が抱える課題には以下のようなものが挙げられます。
- サービスの質が低下する
- セキュリティーの問題
- 障害者への対応が難しい
それぞれの問題点について見ていきましょう。
サービスの質が低下する
無人化によって、利用者は問題が発生した際に直接駅員に相談できないため、サービスの質が低下する可能性があります。
例えば、電車が遅れたときに学校や勤務先に提出する遅延証明書です。
無人駅で遅延証明書が発行できない場合は、最寄りの駅員が常駐している駅まで行って事情を説明しなければ発行してもらえません。
無人システムが進んでいる無人駅であれば、WEBで遅延証明書の発行ができますが事前に調べておく必要があり、面倒に感じるでしょう。
他にも、スマートフォンに慣れていない高齢者などは、アプリの操作などが分からず駅員と直接話したい方もいます。
無人駅では駅員と接することができないため、以前よりもサービスの質が低下したと感じてしまうでしょう。
セキュリティーの問題
無人駅では、監視カメラやセキュリティシステムの導入が不可欠です。
セキュリティー設備が万全でない場合、不正乗車や痴漢などの犯罪や線路内への侵入などの事故のリスクが増加する可能性があります。
また、利用者同士のトラブルに対応できる駅員もいない点も不安視されるでしょう。
障害者への対応が難しい
駅の無人化が増えることで、利用する際に不便さや不安を抱くのは障害者の方々です。
例えば視覚障害者の方にとっては、自動券売機や無人改札の操作をスムーズに行うのは難しいでしょう。自動改札機や線路を通る際も、慎重になります。
聴覚障害者の方は、自動放送システムや案内コールサービスなどが聞き取りにくい、もしくは聞こえないため不安を覚えます。
このような障害者の方が安心して鉄道を利用するためには、無人システムのみではなく駅員のサポートが必要になるでしょう。
無人駅を目指す際は、健常者のみではなく障害者を視野に入れた展開をしていくことが重要です。
無人駅に導入されている無人システムの紹介
無人駅増加に伴い、便利な無人システムも多数開発されています。
今回は、すでに普及している無人システムを含めて一部紹介するので参考にしてみてください。
自動券売機
自動券売機は、利用する区間の料金を自分で確認して購入できます。
また、新幹線などの指定席や自由席、定期券も専用の自動券売機でスムーズに購入可能です。
現金以外にクレジットカードの利用もできるため、多岐にわたるニーズに柔軟に対応できます。
無人改札機
無人改札機は自動改札機とも呼ばれており、利用者が乗車券を自分でかざすだけで検札できるため、待ち時間の短縮が期待できます。
乗車券が無効であった場合は、アラームと共に改札を通れなくなるため、時間のロスが生まれますが、普段から確認しておくことで回避できるでしょう。
自動放送システム
無人駅は駅員が不在であるため、乗り換え案内や運行情報の提供が難しくなります。
そこで、駅の構内やホームに設置されたマイクから、事前に録音された音声を再生する自動放送システムによって、情報を必要としている多くの利用者に提供することが可能です。
ただし、自動放送は利用者が聞き取りにくい場合もあるため、事前に駅員によるテスト放送などが必要でしょう。
インターホンによるコールシステム
無人駅では、インターホンを通じて駅員と通話ができるコールシステムが導入されています。
コールシステムは以下のような場所に設置されています。
- 自動改札機付近
- 券売機付近
- 精算機付近
初めて無人駅を利用するときなど、不明点があればコールシステムで通話することで解決できるため、サービス向上に繋がっていくでしょう。
まとめ
無人駅は、鉄道会社の効率化や利用者の利便性の向上などを目的に需要が高まっています。
良い効果を得られる一方で、無人駅の導入にはサービスの低下やセキュリティー問題、障害者への対応などの問題も残っているのが実情です。
とはいえ、無人システムは利用者のニーズに合わせて開発や改良を重ねることで、より無人駅の利便性の向上が期待できるでしょう。
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