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無人化が進む船舶|そのメリットや無人運航船のビジョンとは

船舶で物資を運ぶ海運業界では、高齢化による船員不足や環境への配慮などの問題を抱えています。

海運業界の課題を解決するため、自動化システムを駆使した無人運航船の導入が注目されています。

無人運航船は、最新の人工知能(AI)やセンサー技術を活用して船員がいなくても自律的に航行することで、人手不足の解消と運航の効率化を実現させることが期待されており、高齢化の問題を解消へ導くでしょう。

また、環境負荷の軽減にも期待がされていることから、海運業界に大きな変革をもたらす可能性があります。

実際に、2040年のプロジェクトでは無人運航船の実用化が実行を目指しており、無人で船舶が走る日も遠くはないのです。

今回は、無人運航船についてメリットや取り組み、プロジェクトなどについて解説します。

無人化された船【無人運航船】とは?

無人運航船とは、船員が乗船せずに完全に自動化されたシステムで航行する船舶のことです。

無人運航船の技術は、自動運転車と同様に、人工知能であるAIやモノをインターネットにつなげる技術であるIoT、他の船を認識するための赤外線を用いたセンサー技術などを駆使して運行されます。

無人運航船は、海運業界において問題になっているコスト削減やヒューマンエラー対策、安全性の向上、環境負荷の低減といった多くのメリットをもたらすことが期待されています。

無人運航船の3つのメリット

無人運航船は、コスト削減、安全性の向上、環境保護といった現在の海運業界の課題に対して効果的な解決策を提供します。

従来の船舶と比べて、無人運航船が特に魅力だとされる、3つのメリットについて詳しく見ていきましょう。

メリット1.運航コストの削減

無人運航船の最大のメリットの一つは、運航コストの大幅な削減です。

従来の船舶は、船員の人件費や食料、生活設備の維持費など多くの費用がかかります。

しかし、船員のいない無人運航船ではこれらのコストが不要になり、燃料消費も効率化されるため、総合的に見ても運航コストの削減が期待できるでしょう。

メリット2.安全性の向上

無人運航船は、船員によるヒューマンエラーのリスクが減り安全性の向上が図れるとされています。

船舶事故の多くは、船員の疲労や操船ミス、判断ミスなどが主な原因です。

無人運航船は自律操船制御システムを駆使して、24時間365日休まず安全かつ正確に航行します。

さらに、センサーやレーダー、AI技術を活用して、リアルタイムで周囲の状況を監視し、最適な航行ルートを選択するため衝突や座礁のリスクも低減させることが可能です。

メリット3.環境への配慮

無人運航船は、環境保護の面でも大きなメリットがあります。

船舶を無人化にすることで燃料消費が効率化され、二酸化酸素などの温室効果ガスの排出量を削減することが可能です。

また、無人運航船はエンジンの運転を最適化し、燃料の使用量を最小限に抑える技術が搭載されています。

また、船員の居住設備が削減されることで船舶の重量が軽量化されることも、燃料削減となり環境への貢献にも繋がっていくでしょう。

2025年までに無人運航船が実用化されるって本当?

日本国内では、2025年までに無人運航船の実用化を実現できるように、技術開発が進められています。

無人運航船についても、車の自動運転のように実証実験を重ねていくことで、さまざまな課題や改善点が見えてくるでしょう。

実際に、無人運航船に必要な技術の実証実験が行われています。

ここからは、2025年までに無人運航船が実用化される可能性などについて見ていきましょう。

無人運航船の実用化は難しい?

無人運航船の実用化に向けて、人工知能(AI)やセンサー技術を取り入れ、船舶の自律操船や周囲の環境をリアルタイムで監視することが可能になりました。

人工知能やセンサー技術により、無人運航船が安全かつ効率的に運航できる可能性が高まったと言えるでしょう。

しかし、さまざまな自動化システムの開発や進歩は認められるものの、実用化するには各システムの安定性や信頼性を確保する課題も残っているのが実情です。

法規制や安全基準の課題が残っている

無人運航船の実用化には、法規制や安全基準も整えていかなければなりません。

2025年に向けて、各国での法律や規制の整備は進められていますが、国際的な基準の統一が課題として残っています。

また、無人運航船の安全性を確保するための基準や規定も必要です。

安全基準の規定が不十分な状況では、事故やトラブルのリスクが高まり、無人運航船の実用化が見送られる可能性があります。

通信トラブルも解決しなければならない

2022年2月26日から3月1日にかけて東京湾から津松阪港の往復航路で行われた、コンテナ船「すざく」による無人運航船実証実験では、通信トラブルが認められています。

船の上では安定した電波を確保することが難しく、顧客から預かった荷物を無人の船舶では安心して運ぶことができません

無人運航船は、安全に運航することだけではなく目的を果たせなければ利用できないと言っても過言ではないでしょう。

「無人運航船だから荷物を預けられない」といったことを防ぐためにも、最初から最後まで荷物や船舶の状態を、通信を通して把握・監視できる体制を保てるようにしていくことが大切です。

2040年の無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」とは?

2040年の無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」は、海上輸送の効率化と安全性向上を目指す取り組みです。

このプロジェクトでは、最新のAI技術やセンサー技術を活用し、完全自律航行が可能な無人運航船の実現を目指しています。

「MEGURI2040」は、海運業界の未来をリードする新しい取り組みであり、2040年には国内の運航船の50%が無人運航船になることが目標です。

MEGURI2040の目標とは?

「MEGURI2040」は、2040年までに無人運航船の実用化と普及を目指すプロジェクトです。

主な目標には、海運業界の安全性の向上と効率化の実現や、無人運航船の技術によって運航コストを削減させ環境への負荷を軽減することなどが挙げられます。

また、少子高齢化による船員不足や業界全体の高齢化といった課題に対処し、海上輸送の持続可能性を確保することも大切な目標として掲げています。

「MEGURI2040」の成果や今後のビジョン

「MEGURI2040」の取り組みにより、2040年までに無人運航船の実用化が実現され、海運業界に大きな変化がもたらされることが期待されています。

無人運航船が普及されると、運航コストの削減や海上輸送の効率の向上、環境への負荷が低減するとともに、新たなビジネスチャンスも生まれるでしょう。

また、子どもたちが海事産業に興味を持ち新しい働き手になることや、医療従事者の足りない地域へ医療船を走らせることなどもできると期待されています。

このように、無人運航船のプロジェクトは、さまざまな成果やビジョンを叶えられる可能性があるのです。

まとめ

2025年から2040年までには、無人運航船が海上で実用化されていくと言われています。

実際に、さまざまな企業が提携して自動化システムの開発や改善を繰り替えており、安全性や効率性の高い変化をもたらすでしょう。

現在は法規制や安全基準の整備や無人運航船の普及に向けた準備が進められています。

コンテナ船などによる実証実験も行われており、改善すべき課題も明確にしながら2040年の「MEGURI2040」へ向けて歩みを進めています。

かねてより問題視されていた船員の不足や業界全体の高齢化といった課題にも対処できるでしょう。

まずは2025年の実用化を叶え、2040年には無人運航船が海上を航行し、海運業界に革命をもたらすことを期待しましょう。

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