ファミレスが無人化するメリットとデメリット|進化を続ける飲食業界
ファミレスでは従業員が接客するのが当たり前でしたが、令和に入り徐々にその当たり前の風景が変わってきています。
配膳ロボットやタッチパネルによる注文など、従業員の業務を無人化システムが担うようになってきているのです。
すでに導入されて一般的になっているドリンクバーも、無人化システムのひとつであるように、徐々にファミレスのサービス内容に変化が現れています。
このようなファミレスの無人化システムを導入するには、コストがかかるため慎重になってしまうものです。
そこで、ファミレスを無人化にするためのシステムの特徴やメリット、デメリットなどを解説します。
ファミレスの無人化とは?
そもそもファミレスの無人化とは、オーダーから配膳、会計まで全て無人で完結させるスタイルです。
海外ではすでに無人化のファミレスは広がっており、2015年にはサンフランシスコにてサラダ専門店が導入されました。
日本国内でも、新型コロナウィルス感染症の拡大をきっかけに、徐々にファミレスの無人化が進んでいます。
ファミレスで導入されている無人化システム
現在、日本国内のファミレスで導入されている無人化に繋がるシステムは以下の3つが挙げられます。
- 配膳ロボット
- タッチパネルによる注文
- セルフレジ
- ドリンクバー
上記のアイテムを導入しているファミレスは、近年徐々に増えている傾向にあります。
導入当時こそ、もの珍しさや不安などを感じていた方も、今は日常的に受け入れられているのは普及しているからこそでしょう。
無人化のために導入されている上記3つのアイテムについて解説します。
配膳ロボット
配膳ロボットは、大手ファミレスグループが2022年12月に導入を発表し、見慣れない光景にしばらく話題になりました。
導入から2年以上経過した2024年2月現在、配膳ロボットを導入しているファミレスは増えており、日常の光景として顧客にも馴染んでいます。
大手ファミレスでは、配膳ロボットの見た目の可愛らしさが小さい子どもにも人気があり、家族で食事に行く機会が増えたといった声もあるほど。
ファミレスごとに異なる配膳ロボットが導入されており、今後の発展が期待できます。
タッチパネルによる注文
注文する際、従業員が座席まで行って対応するのが一般的でしたが、タッチパネルによる注文方法を導入しているファミレスも増えています。
各座席に設置されたタッチパネルで注文が行われ、従業員の聞き取り間違いによる提供ミスなどを防ぐことも可能です。
顧客側のメリットも多く、合計金額もリアルタイム把握されたり待ち時間がなかったりなど、便利なシステムとなっています。
一部のファミレスでは、顧客の所持しているスマートフォンでQRコードを読み込んでから注文するシステムもあります。
セルフレジ
セルフレジも、従業員の代わりに顧客が自分で清算を済ませるシステムです。
セルフレジを導入することで、会計時間の短縮や清算間違い防止などが期待できます。
なお、セルフレジによってはクレジットカードや電子マネーなどのキャッシュレス決済のみとなっており、現金払いよりもスムーズに会計を済ませることが可能です。
ドリンクバー
ドリンクバーは、飲みたい飲み物を自分で取りに行くスタイルとなっており、すでに普及しているシステムです。
ソフトドリンクなどと共に、冷水も顧客が自ら取りに行くため、座席まで水の提供をする必要がなくなります。
顧客は自由に好きな飲み物を選べるだけではなく、提供するまでの待ち時間も削減できるため、満足度の高い時間を過ごせるでしょう。
ファミレスが無人化システムを導入するメリット
ファミレスが無人化システムを導入によって得られるメリットは多岐にわたります。
主に挙げられるのは以下の3つのメリットです。
- 人件費の節約
- 人手不足の解消
- 顧客と適度な距離を保てる
特に、人件費や人手不足などで悩んでいるファミレスにとって無人化システムは良い効果を期待できます。
人件費の節約
ファミレスでは、従業員を雇うための人件費がかかります。
例えば、東京都の最低賃金は令和5年10月1日より時給1,113円です。
引用元:地域別最低賃金の全国一覧
パートやアルバイトとして雇った従業員が1日8時間20日間働いた場合、1ヵ月178,080円の人件費が発生します。
一方、配膳ロボットは充電時間を除いて、開店から閉店まで稼働させることが可能です。
例えば、大手ファミレスチェーン店で導入されているネコ型配膳ロボット「BellaBot(ベラボット)」のレンタル費用は、月58,000円(税込)となっています。
公式サイトによると、「BellaBot(ベラボット)」の稼働時間を時給に換算した場合 58,000円 ÷(30日×10時〜22時の稼働 )= 約161円と設定しており、従業員の時給よりも安く済みます。
引用元: DFA Robotics公式サイト
このように、配膳ロボットの導入は毎月従業員に支払う人件費の節約に効果的です。
人手不足の解消
注文から配膳、飲み物の提供、会計、片付けなど、多くの業務をスムーズにこなすためには十分な従業員数が必要です。
しかし、少子高齢化や仕事量の多さ、賃金の安さなどさまざまな理由から人手不足の問題を抱えているファミレスが少なくありません。
そこで配膳ロボットなど、従業員の仕事を無人で担ってくれるシステムを導入することで、深刻な人手不足解消に繋がります。
従業員が急に休んでしまってシフトに穴が空いてしまっても、無人化システムを導入しておけば安心できる場面も増えるでしょう。
顧客と適度な距離感を保てる
ファミレスの無人化が進んだ理由の1つとして、新型コロナウィルス感染症の拡大が挙げられます。
感染症予防の観点から、非接触のサービスを求める方も少なくありませんでした。
無人化システムの導入により、従業員と顧客が接触する機会を減らすことで、顧客の安心感を高められます。
コロナ禍が落ち着いたあとも、無人化システムは非接触を求める顧客のニーズに応えるためにさらなる需要が期待できるでしょう。
ファミレスが無人化システムを導入するデメリット
ファミレスが無人化システムを導入する際、メリットばかりではなくデメリットへの考慮も必要です。
無人化システムを導入する際は、デメリットも踏まえて検討しましょう。
配膳ロボットの通行スペースの確保が必要
配膳ロボットの通行スペースを確保しなければ導入できないため、テーブルの配置などを改善する必要があります。
ネコ型配膳ロボット「BellaBot(ベラボット)」の場合、70cmの幅が確保できれば導入可能です。
導入を検討する配膳ロボットの通行可能な範囲を公式サイトや販売元に問い合わせて確認しておきましょう。
導入コストの負担
無人化システムを導入するためには、高額な初期費用がかかります。
配膳ロボットの場合、製品によって異なりますが150~370万円程度が相場です。
レンタルで導入するとしても、月額50,000~100,000円程度と高額になるため、複数台導入する場合は慎重に検討しましょう。
セルフレジに関しては、1台100万円程度の初期費用の他に、保守費用が別途月額2~3万円程度かかります。
初期費用以外にも、毎月の保守費用なども考慮して導入計画を立てる必要があります。
接客を求める顧客への対応
従業員との対話や接客を求める一部の顧客には、無人化システムをサービスの低下と捉えられてしまう場合があります。
さらに、無人化システムに馴染みのない高齢者などは、配膳ロボットやセルフレジの使い方が分からず従業員を呼ぶケースも少なくありません。
従業員の作業が減ると思い無人化システムを導入したものの、顧客のニーズに合わない場合があることを理解しておきましょう。
まとめ
今後、無人化のファミレスはますます普及していく可能性があります。
その一方で、導入コストなどを踏まえて慎重な導入計画と対応が必要です。
配膳ロボットやタッチパネルの注文、セルフレジなど、導入コストはかかるものの、従業員の人件費や作業量などを踏まえて検討してみてください。
求人を出しても人手が足りずに困っているファミレス経営者は、無人化システムが店舗のニーズに適しているか検討して今後の発展へと繋げていきましょう。
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