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駅の無人化が進むのはなぜ?理由とその背景に迫る

2020年3月末時点で、日本の約5割が無人駅と国土交通省が発表しています。

駅の無人化が進む背景には、運営コストがかさんでしまうことや利便性に欠けてしまうなどの課題があるためです。

さまざまな分野で導入されている自動化システムは、鉄道業界も例外ではありません。

駅員がいて当たり前という時代は少しずつ変化しています。

今回は、駅の無人化が進んでいる理由や問題点などについて解説するので参考にしてみてください。

なぜ駅の無人化が進んでいるのか?4つの理由

駅の無人化は、利用者の少ない地方都市が多くなっていますが、国土交通省の調査によれば総駅数のうち約5割が駅員の常駐していない無人駅となっています。

引用元:駅の無人化に伴う安全・円滑な駅利用に関するガイドライン策定の経緯|国土交通省

東京都足立区においても、東武大師線「大師前駅」が無人駅として運営されています。

他に、東急世田谷線や多摩地区でも無人駅の数が多くなっているのが実情です。

地方都市だけではなく、駅全体で見て無人駅がここまで増えたのはなぜなのでしょうか。

今回は、考えられる4つの理由について解説します。

駅の運営コスト削減と業務効率化を目指す

駅の無人化が進む主な理由のひとつは、運営コストの削減と業務効率化を図るためです。

特に地方都市や過疎地では都市部への移住や少子高齢化などで駅の利用者が少なくなり、赤字経営となるケースが増えています

このような運営状況では、従来のように駅員を常駐させるコストが大きな負担となり、さらに駅の経営を持続させることが困難です。

駅を無人化することで、人件費を大幅に削減させて他の業務に効率的に活用できます。

完全な無人駅にせずとも、駅員不在の時間帯を設けるだけでも、駅の運営に良い効果を発揮するでしょう。

人手不足への対応

駅だけではなく、少子高齢化や人口減少によりさまざまな分野で人手不足が深刻な問題となっています。

駅に関しては、特に過疎地に該当するような地方では駅員の確保が難しいのが実情です。

駅員が足りなくても、利用者を減らすことはできません。

そのために、人手不足でも駅の運営を保つ目的で無人化は進められています

無人化が進むことで、少ない駅員でも効率的に駅の運営を継続できるだけではなく、利用者の多い都市部へ駅員を配置することも可能です。

駅利用者の利便性向上を図る

駅の無人化は、利用者の利便性向上にも効果を発揮します。

自動券売機や自動改札機の導入により、利用者はスムーズに切符の購入や改札通過が行えるようになり、煩わしい待ち時間を短縮できます。

また、自動システムの進展により、駅構内に設置された案内ロボットや情報端末を活用することで、利用者は必要な情報を迅速に得ることが可能です。

従来のような、駅員を探して声をかけるという煩わしさが解消されるでしょう。

自動化システムの進化

近年のテクノロジーの進化により、人工知能であるAI技術やモノのインターネットであるIoTの導入が各分野で進んでいます。

駅に関しても、遠隔監視システムや自動案内システムも発展しており利用者のスムーズな駅利用に役立っています。

これにより、無人駅でもセキュリティの確保や利用者への適切なサポートが行えるようになりました。

駅員のみで運営していた頃と比較しても、安全性と利便性の向上が見られるでしょう。

無人駅の問題点とその対策方法

無人駅は良い部分だけではなく、従来の駅とは異なった問題点が残っているのが事実です。

今回は、無人駅の問題点や対策方法を3つ紹介するので見ていきましょう。

安全対策と防犯強化

無人駅における大きな問題の一つは、安全対策と防犯の強化です。

無人駅では駅員が常駐しないため、犯罪や事故の発生リスクが高まることが懸念されています。

犯罪や事故のリスクに対して、無人駅では様々な対策が取り入れられています。

例えば、監視カメラを設置して24時間体制で駅構内を監視するシステムです。

赤外線暗視機能付きの監視カメラであれば、夜間の撮影も問題なく行えます。

不正乗車についても、監視カメラの映像から犯人を特定することもできるため、無人駅であっても犯罪は許されません。

さらに、定期的な巡回や地域警察との連携などによっても無人駅の安全は守られています。

高齢者や障がい者への対応策

無人駅においてもうひとつの重要な課題は、高齢者や障がい者への対応策です。

高齢者や障がい者にとって、駅員のサポートがない無人駅は利用のハードルが高まります。

午後3時以降になると駅員のいない無人駅になる「津久見駅」で視覚障害を持つ高齢女性がホームから転落し、列車にはねられて亡くなるという悲しい事故が2022年12月に発生しました。

このような事例は、無人駅における高齢者や障がい者への対応策の必要性を強調しています。

具体的には、エレベーターやエスカレーターの設置、点字ブロックの整備、音声案内システムの導入などが求められています。

また、遠隔操作によるサポートセンターの設置により、利用者が困っているときや危険なときにリアルタイムで支援を受けられる体制も整えられつつあります。

高齢者や障がい者が安心して利用できる無人駅にするにはどうすればよいのか、常に考えておくべきだと言えるでしょう。

地域社会と連携をとる

無人駅を理解してもらい受け入れてもらうためには、地域住民の協力が重要であり、ボランティア活動や自治体との連携が必要です。

無人駅の運営を持続するには地域のボランティアが駅の清掃や見回りを行うことで、駅の安全性と清潔さが保たれます。

実際に、兵庫県香美町のJR山陰線「佐津駅」では、元JR職員がボランティアとして駅員に任命されています。

清掃や学生の見守りなど、地域のボランティアや住民が無人駅と関わることで成功に導けると言っても過言ではありません。

さらに、地域住民が観光客に情報提供や道案内を行う「おもてなし隊」や、無人駅前に食堂を作るなどの取り組みにより、地域全体で無人駅をサポートする体制が整います。

無人駅を長く持続させるためには、地域住民の理解や協力を得られるかが重要なポイントになってくるでしょう。

無人駅の将来のビジョンとは

今後、無人駅は自動化システムの進化や地域住民との繋がりを通じて、より安全で便利な交通手段として、地域社会や鉄道業界全体に多くの利益をもたらすと期待されています。

無人駅が将来どのようになっていくのか一緒に考えてみましょう。

自動化システムの進化と共に無人駅もさらに便利に!

無人駅は、自動化システムの技術の進化によって大きく変わっていくことが期待されています。

AIやIoT、ロボット技術の進展により、無人駅の運営はさらに効率良くなっていくでしょう。

例えば、

  • AIを活用した監視システムが24時間体制で駅構内の異常を検知して迅速に対応
  • ロボットによる案内や清掃の普及
  • 顔認識技術を用いた改札システム

このように、自動化システムの進化によって無人駅は便利さを増していくことが期待できます。

地域社会との繋がりが強化される

無人駅では、地域住民や自治体との連携が深まり、地域の活性化に繋がることが期待されます。

地域ボランティアによる定期的な無人駅の見回りや清掃活動、地元企業や商店による駅周辺の商業活性化など、地域全体で駅を支える取り組みが進むでしょう。

また、無人駅が地域の観光情報センターやコミュニティスペースとしての機能を持つことで、地域の魅力を発信する拠点となります。

観光客との繋がりや今まで接してこなかった地域住民とのコミュニケーションを取る機会も増えるでしょう。

無人駅周辺にも変化が生まれる

無人駅が今後も増えていくと、鉄道業界全体にさまざまな効果をもたらします。

まず、人件費などの運営コストの削減によって経営が安定し、他のサービスや設備投資に資金を回せるでしょう。

また、無人駅が増えるに伴い駅周辺の無人店舗や自動販売機の増加、飲食店など新たな雇用機会やビジネスチャンスが生まれることも期待できます。

まとめ

運営コストの削減と業務効率化、人手不足への対応、利用者の利便性向上、自動化システムの進化といった理由から駅の無人化が進んでいます。

特に、少子高齢化や過疎化が進む地域では、駅員を配置するコストが大きな負担となっており、無人駅にすることで運営の安定や自動化システムによって利用者の利便性も向上するでしょう。

さらに、自動券売機や自動改札機の導入で運営の効率化が図られ、AIやIoT技術の進展により安全性も高めることが可能です。

一方で、高齢者や障がい者への対応策や安全対策なども考えていかなければなりません。

増えていく無人駅を衰退させずに、より多くの利用者が満足できるように、今後も自動システムの開発や地域住民との連携の強化などに取り組みが必要です。

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