空港の無人化は可能?導入されているシステムやメリットを解説
空港は、旅行や出張などで利用する機会が多い方もいる大切な交通機関のひとつです。
現在日本国内では、さまざまな職業で無人化システムが導入されており、空港でも需要が高まっています。
従来なら従業員が担っている業務を無人化システムが担うことで、空港だけではなく利用者にもメリットがあり、今後も普及が進んでいくでしょう。
今回は、空港に導入されている無人化システムや導入するメリットなどを解説します。
空港が無人化になる可能性があるって本当?
結論から言うと、空港が無人化で運営される可能性はあります。
実際に、シンガポールではすでに無人化の空港が運営されており、シンガポール・チャンギ国際空港の第4ターミナルがその一例です。
この先、他の空港でも無人化システムを導入して同じような取り組みが進む可能性は大いに考えられるでしょう。
技術の進歩により、無人でさまざまな業務を担うシステムが導入され、空港運営が大幅に変化する可能性はゼロではありません。
もちろん、日本国内でも人手不足や効率化を求める声から、無人化が進むことが期待されています。
空港に導入される無人化システムとは?
空港に導入される無人化システムには、以下のようなものが挙げられます。
- 自動運転カーによる滑走路の点検システム
- 自動化された荷物運搬システム
- 自動化されたチェックインシステム
これらは、空港で導入される可能性のある無人化システムの一部です。
徐々にではありますが、日本国内の空港でも実証実験などが行われています。
それぞれの無人化システムの特徴を見てみましょう。
自動運転カーによる滑走路の点検システム
自動運転の小型電気自動車が、全長2キロの滑走路を時速約25キロで走行し、滑走路表面やマーキング、証明などを定期的に点検し安全性を確保します。
また、ヒューマンエラーや点検者の事故リスクを排除することも期待されている無人化システムです。
自動運転カーは、すでに和歌山県白浜町にある「南紀白浜空港」で国内初の試みが行われ、撮影された画像をAIが解析して滑走路のひび割れを検知し、その効果が確認されています。
自動運転カーが発展することで、空港運営における安全性や効率性が向上し、空港利用者や関係者の安心と安全を実現する助けになるしょう。
自動化された荷物運搬システム
自動化された荷物運搬システムは、AI制御のロボットアームが旅客の荷物を自動的に運搬し、コンテナへの積み込みなどを行います。
荷物運搬システムにより、荷物の受け渡しミスや遅延が減少し、空港の運用効率の向上が期待できるでしょう。
荷物運搬システムは、佐賀空港でロボットによるコンテナへの荷物の積み込み作業を実証済みです。
また、手荷物はセルフサービスによる預け入れシステムも開発されています。
ベルトコンベアに手荷物タグを付けて預ける仕組みで、倒れたり衝撃を与えたりせずに預かってもらえるため、今後重宝されるでしょう。
重いスーツケースをロボットが運搬し、手荷物はセルフサービスで預けられるため、待ち時間の短縮や従業員の負担などを軽減することが可能です。
自動化されたチェックインシステム
自動チェックインシステムにより、乗客のターミナル内の案内や手続きのサポートを無人で行えます。
導入するシステムによって異なりますが、乗客は事前に送られてくる予約番号や顔認識によって個別に識別され、自動案内ロボットが目的地や出発ゲートを案内します。
無人であっても、乗客はスムーズに目的地にたどり着くことができるでしょう。
また、チェックインカウンターで並ぶ必要もないため、チェックインやセキュリティチェックなどの待ち時間が短縮され、空港滞在時間が効率的に活用できます。
自動チェックインシステムによって、これまでよりもスムーズな空港利用が実現され、空港運営全体の効率性と顧客満足度の向上が期待できるでしょう。
空港に無人化システムを導入するメリット
空港に無人化システムを導入する主なメリットは以下のものが挙げられます。
- 空港の人手不足の解消
- 荷物の受け取りが楽になる
- 労働環境改善により従業員のサービス向上などが期待できる
- 保安検査の高度化と効率化が期待できる
現在空港が抱えている問題を解決に導くだけではなく、サービス向上や効率化など従業員と利用者共に満足できるようになるでしょう。
それぞれのメリットの内容を解説します。
空港の人手不足の解消
空港は、新型コロナ感染症拡大の影響もあり、人手不足が深刻な状況です。
特に、飛行機の誘導や荷物の積み下ろしをするグランドハンドリング(グラハン)や、手荷物検査などをする保安検査要員は人手が足りていません。
というのも、これらの業務は外部委託しているケースが多く、コロナ禍で削減した人材が今も戻ってきていないのが原因と言われています。
人材が足りていない業務に無人化システムを導入することで、人手不足の問題を解決に役立つでしょう。
また、従来の従業員による業務に比べて、機械やソフトウェアによる自動化された無人化システムは、24時間体制で作業を行うことが可能です。
そのため、従業員の配置がしやすくなりシフト調整や労働時間の削減も期待できます。
また、人手不足が原因で生じる業務の遅れやミスも減少し、サービス向上にも繋がるでしょう。
荷物を預けたり受け取ったりするのが楽になる
無人化システムによって、利用者は荷物を預けたり受け取ったりする待ち時間の短縮や手間の削減が期待できます。
従来の荷物の受け取り作業では従業員の介入が必要であるため、待ち時間が発生することが少なくありません。
しかし、自動化された無人化システムでは、荷物を預けて受け取りまでのプロセスが効率化されます。
実際、2015年7月にはANAで以下の自動手荷物預け機が導入されており、全てのプロセスを完了するまでにかかる時間は1分程度。
引用元:空港での待ち時間を一気に短縮!「ANA Baggage Drop」で手荷物を預けてみた
タッチパネルに従って操作を進めるだけなので、想像しているよりも簡単に利用できます。
無人化システムにより、荷物を預けたり受け取ったりする待ち時間が削減され利用者の利便性も向上するでしょう。
労働環境改善により生産性向上が期待できる
無人化システムの導入により、空港の従業員は重労働や事故リスクなどから解放されます。
従来は保安検査や荷物の取り扱いなど、肉体労働や環境リスクの高い業務が多かったため、労働者の健康に悪影響を及ぼす可能性がありました。
しかし、無人化システムではロボットや自動システムが業務するため、従業員は安全な環境で他の仕事に集中できます。
無人化システムにより労働環境が変わり、従業員の身体的負担が軽減され生産性向上が期待できるでしょう。
保安検査の高度化と効率化が期待できる
無人化システムを導入することで、保安検査の高度化と効率化が期待されます。
高度なセンサーや画像処理技術を活用したシステムは、従来の手動検査よりも精度が向上し、より迅速で信頼性の高い検査が可能です。
例えば、X線スキャナーや顔認識システムを利用して、危険物や不審な挙動を自動的に検知できます。
これにより、保安検査のレベルが向上し、航空安全性の確保に貢献します。
また、従来は人手による検査で時間がかかる作業も、自動化されたシステムによって迅速に処理されるため、待ち時間の短縮や人件費の削減が期待されます。
空港警備対策を強化できる
無人化システムの導入は、空港の警備対策を強化するためにも重要です。
例えば、レーザーセンサーや振動検知センサー、監視カメラ、セキュリティゲートなどの先進技術を活用することで、空港内の監視範囲を拡大し不審な行動を早期に検知することが可能です。
また、これらのシステムを使うことで防犯対策だけではなく従業員の事故リスクを回避することもできます。
さらに、監視カメラなどの無人化システムは24時間体制で稼働し、人間の監視だけでは困難な場所や状況に対応できるため、犯罪やテロ事件などのリスクに対する迅速な対応が可能です。
まとめ
空港では、すでに無人化システムの試用や導入が進んでおり、従業員の負担が軽減したり利用者の利便性が高まったりなど、良い効果が期待できます。
しかし、以下のような課題も残っているのが事情です。
- 従業員の研修
- 法規制と規制遵守
- 利用者の受け入れ
このような課題は残っていますが、あらゆる職業において無人化は進んでいます。
空港においても例外ではないため、今後普及していく無人化システムも増えていくでしょう。
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