スーパーのレジは無人化が急加速|メリットとデメリット、気になる課題
近年スーパーでは、スキャンから会計まで全て顧客が行うセルフレジや一部を従業員が作業するセミセルフレジの導入が進み無人化が加速しています。
スーパーだけではく、飲食店やアパレルなどでも加速しているレジの無人化は、店舗と顧客の双方にメリットがある魅力的なシステムです。
今までのレジで不便だった順番待ちや釣銭の間違いなども起こりにくくなるため、スーパーの効率化にも繋がっていると言えるでしょう。
しかし、さまざまな人が利用するスーパーによるレジの無人化で困る顧客がいるのもたしかです。
また、メリットだけではなく今後の課題も残されているため、把握しておきましょう。
この記事では、スーパーのレジの無人化によるメリットやデメリット、そして課題について詳しく解説します。
スーパーのレジの無人化が進む背景
スーパーのレジの無人化が進む背景には、以下のようなものが挙げられます。
- スーパー同士の競争が激化している
- 顧客のニーズに応えられる
スーパーは、各地域にいくつも店舗を構えている場合もあり、競争化は避けられません。
顧客のニーズを叶えることで、リピートする確率は高まります。
そのためには商品価格やサービスだけではなく、より効率良く顧客が買い物を終えられるためのレジが必要です。
まずは、それぞれの背景について詳しく見ていきましょう。
スーパー同士の競争が激化している
スーパーの競争が激化する中で、レジの無人化は一つの解決策として注目されています。
レジの無人化は、スーパーが顧客に迅速で便利なサービスを提供するための戦略のひとつです。
顧客は、長い待ち時間や混雑したレジを避けることができ、スーパーは効率的に運営できます。
レジ対応が遅く退店までの時間が長くなってしまうスーパーよりも、短時間でスムーズに帰宅できるセルフレジを導入しているスーパーの方が、顧客満足度も向上するでしょう。
顧客のニーズに応えられる
顧客ニーズは日々変わっており、特に新型コロナ感染症が拡大した時期は非接触を求める声も多くありました。
また、仕事や学校、子連れなどでスーパーのレジは早急に終わらせたいと考える顧客も増えています。
従業員が対応するレジは時間がかかってしまうケースもあり、自分で全て作業をして短時間で終わらせたい方にはセルフレジがニーズに合うと注目されているのです。
スーパーのレジを無人化するメリット
スーパーのレジを無人化するメリットには、以下のものが挙げられます。
- レジ担当の人手不足を解消できる
- レジ担当によるヒューマンエラーを防止できる
- 従業員の業務負担を軽減できる
これらのメリットは、スーパーの経営状況を良くしたり顧客満足度が向上したりといった効果を期待できます。
それぞれのメリットの内容について、詳しく見ていきましょう。
レジ担当の人手不足を解消できる
人手不足が深刻化しているスーパーの場合、レジを無人化することで問題を解消に導くことができます。
レジ担当が不足することは、スーパーのレジが混雑しているときに大きな問題です。
レジに並んでいる顧客を長時間待たせてしまうため、顧客満足度の低下にもなりかねません。
しかし、レジを無人化することで、最小限のレジ担当のみを配置で済むのです。
稼働できないレジを減らすことで、効率的にレジ作業が運営され顧客満足度も向上。
24時間営業のスーパーにおいても、深夜や早朝のレジ業務を無人化できるため、さらに売上も伸ばすことができます。
レジ担当によるヒューマンエラーを防止できる
レジを無人化にすることで、レジ担当によるヒューマンエラーを防止する効果も得られます。
例えば、スキャン漏れや釣銭の金額間違いなどのヒューマンエラーは人が作業することで生まれてしまうミスです。
レジ業務において、スムーズなお金のやりとりはとても重要な作業になるため軽視できません。
レジを無人化すると、このような業務は全て自動化することが可能です。
スキャン漏れがあった場合は、重さなどから自動で把握し警告が出ます。
釣銭はレジの高い精度のシステムによって自動で計算されて排出されるため、間違えることはほとんどありません。
従業員の業務負担を軽減できる
スーパーの業務は、レジ以外にも商品の補充や顧客対応など多岐にわたります。
人手不足の店舗は、レジ業務をやりながら他の業務を兼任するケースもあるため、従業員の業務負担が大きくなります。
また、顧客で店内が混雑しているときはレジ業務のみに専念できるとも限らず、会計を待たされる顧客の満足度は低下してしまうケースもあるでしょう。
レジが無人化すれば、従業員はレジだけではなく他の業務にも専念できます。
レジ以外の業務にも時間を割くことができると、品物がない陳列棚もなくなり陳列も常にキレイに整えることができるので、店舗運営もスムーズになっていくでしょう。
スーパーのレジを無人化にするデメリット
スーパーのレジを無人化すると得られるメリットは多いですが、逆に以下のようなデメリットもあります。
- セルフレジ導入の費用が高額
- 年齢確認などの対応が難しい
- セルフレジのトラブルが起きた際は対応が必要
セルフレジを導入してスーパーの無人化を検討する際は、デメリットも考慮しましょう。
それぞれのデメリットの内容について、詳しく解説します。
セルフレジ導入の費用が高額
スーパーのレジを無人化にするためには、セルフレジを導入する必要がありますが、高額な初期費用がかかります。
スーパーに導入するセルフレジは、1台あたり300~500万円程度が目安の金額です。
また、導入する際の設置費用やメンテナンス費用もかかってくるため、長期的なコストを見積もる必要があります。
安易にセルフレジを導入してしまうと、スーパーの経営に対して大きな負担になる可能性もあり危険です。
とはいえ、人材不足の解消や従業員の業務負担が軽減するなどの効果もあるため、検討する価値は十分あります。
新しく従業員を雇用した場合の人件費とセルフレジのコストを比較して、費用対効果を慎重に算出してみましょう。
年齢確認などの対応が難しい
タバコやお酒といった年齢確認が必要な商品に対して、セルフレジは対応が難しくなっています。
セルフレジでは、商品を顧客が自分でスキャンして清算を行います。
その際、年齢確認が必要な商品をスキャンすると「はい」もしくは「いいえ」で自分の年齢が20歳以上であるか答える表示が出てきますが、実際の年齢を偽る可能性はゼロではありません。
そのため、セルフレジの近くにはレジ担当の従業員を配置して、年齢確認が必要な商品の際は直接確認することになります。
なお、セルフレジによる年齢確認においても日々検討が重ねられており、マイナンバーカードやアプリによって無人化できるような動きもあるため今後の発展に期待です。
セルフレジのトラブルが起きた際は対応が必要
セルフレジでトラブルが起きた際は、スーパーは迅速な対応が必要です。
セルフレジで商品をスキャンしたり精算したりする際にトラブルが発生すると、顧客は不快な思いをする可能性があります。
また、セルフレジのトラブルによりスーパーの運営効率が低下する可能性もあります。
そのため、スーパーはセルフレジのトラブルに対する対応策を事前に準備しておくことが重要です。
例えば、セルフレジの操作方法を分かりやすく説明する対策が考えられます。
クレジットカード決済の方法、バーコードのない商品の対応の仕方など、何も分からない顧客でもスムーズに対応できるように分かりやすい案内などを各セルフレジに設置すると安心感につながるでしょう。
そして、何よりもセルフレジのトラブルが発生した場合には、スーパーの従業員が迅速に対応し、顧客の不安を解消することが大切です。
このような対策を講じることで、セルフレジのトラブルが起きた際にも、スーパーは顧客満足度を維持することができるので検討してみましょう。
スーパーのレジを無人化による課題とは
すでに多くのスーパーで導入が進んでいるレジの無人化ですが、まだ改善すべき課題も残されています。
しかし、セルフレジを含め、無人化システムは進化を続けているので、将来的にはさらに私たちの生活を豊かにしてくれるでしょう。
今回は、現段階で挙げられるレジの無人化に対する課題を紹介します。
高齢者や子どもなどへの対応
高齢者や子どもなどへの対応は、セルフレジ導入における重要な課題の一つです。
高齢者や子どもは、セルフレジの操作が難しい場合があります。
特に、高齢者はデジタルに不慣れな場合が多いため、セルフレジの操作が難しいと感じるケースが少なくありません。
子どもは身長が低いため、セルフレジの画面に届かないことがあります。
高齢者や子どもでも使いやすいようにするためには、丁寧な案内を作ったり踏み台を用意したりなどの対策が必要です。
また、迅速にサポートできるようにセルフレジの近くには従業員を配置することも併せて徹底しましょう。
データセキュリティとプライバシーの保護
セルフレジでは、クレジットカードなど顧客の個人情報を扱います。
そのため、スーパーは、お客様の個人情報を適切に保護することが重要です。
また、セルフレジの操作ログなどの情報を適切に管理しなければなりません。
これらの課題を解決するためには、顧客の個人情報や決済情報の操作ログを暗号化するなどの対策が考えられるでしょう。
従業員がシステムにアクセスする際は、指紋認証や顔認証など多要素認証を導入することも効果的です。
万引きなどのセキュリティー対策の強化
セルフレジでは顧客が自分で商品をスキャンして精算を行うため、万引きのリスクが高まる可能性があります。
万引きなどの犯罪対策には、防犯カメラやAIカメラ、セキュリティーゲートの設置が欠かせません。
また、セルフレジを設置する場所に死角を作らないようにすることや混雑時は従業員の配置人数を増やすといった対策も必要です。
なお、セルフレジには商品管理のシステムが導入されており、棚卸などの機会に在庫数が合わないことで万引きは後から発覚することも多くなっています。
防犯カメラが設置されていれば万引き犯の特定が可能であるため、必ずセキュリティー対策を強化しておきましょう。
まとめ
セルフレジを導入すれば、時間短縮や釣銭の間違いなどのヒューマンエラーが起きにくくなるため、顧客満足度の向上が期待できます。
また、スーパーの従業員が足りていない店舗ではレジが無人化することで人手不足解消にもなり、顧客にとっても経営者にとっても魅力的です。
一方で、セルフレジに不慣れな方や子ども、トラブル、年齢確認などの対応は従業員が必要になるため完全な無人化は難しいかもしれません。
まだ課題の残るスーパーのレジの無人化ですが、導入後のメリットも多いため、費用対効果を算出して前向きに検討してみましょう。
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